古楽研究会代表 加久間朋子
去る5月末に当会有志でイギリスのエジンバラへ、オリジナル楽器見学に行ってきました。過去、ドイツとイタリア、そして浜松にメンバーを募って見学に行きましたが、今回は急に決めたことでもあり、会員に声をかけ、会員は5名、その他1名の計6名で現地集合、現地解散での旅程。 このエジンバラに昨年、仕事で出かけた会関係者が楽器を見学に行った際、前回のような研究会での見学、もちろん試奏可能な見学が出来ないかと話したところ、可能との返事をもらい、それではいつ計画しようかと考えていました。が、突然に訪問可能な時期があり、まず下見を兼ねての意味合いもあり、行ってきたわけです。訪問可能な時期を見つけた後に、すぐさま楽器博物館へコンタクトを取り、試奏可能、楽器ごとの討議もしながらお見せしましょう、という話になり、あっという間に機上の人となりました。
このエジンバラには昔から聖セシリア・ホール楽器博物館St.Cecilia’s Hall Museum of Instrumentsのラッセル・コレクションRaymond Russell Collectionが有名でしたが、数年前にロンドンのミリー・コレクションRodger Mirrey Collectionもここに統合され、多くの興味深い 鍵盤楽器が並べられています。その内訳は、カタログによればチェンバロ25台、ヴァージナル5台、スピネット10台、クラヴィコード9台、フォルテピアノ5台、スクエアピアノ7台、オルガン4台、その他としてピアニーノが1台。その楽器の一部は1階のホール内に、多くは2階の2つの部屋(イギリスの楽器とそれ以外に分けられて)に所蔵。
その中に入ったとたん参加メンバーから感嘆の声が挙がりました(写真1)。 実は当日、事前にコンタクトを取った研究員の方は、会議のためにこちらには来られない事になったのですが、この日朝9:30~5:00まで私達のためにのみ、この部屋を開放してくださり、自由に弾くことが出来るよう手配してくれていました。最初は楽器たちの対面に、各自が楽器と触れることに没頭し、あっという間に1時間ほどたってしまいましたが、その後は手に入れた楽器目録をもとに、楽器1台ずつをゆっくり検証。これが大変面白い時間でした。もちろん、詳しい方に説明していただくのも良いのですが、データをもとに、皆で考えながら楽器を回るのは本当に有意義な時間でした。たとえば、演奏は出来ない状態ではありましたが、2段スピネット(写真2)。これは、構造的に2段鍵盤は難しいのに?という疑問がありましたが、内部を見て納得。通常スピネットは互い違いの向きのジャックが使われていますが、これは一方方向になっていました。それで2段が可能だったのですね。また、アウタケースめずらしいものもあって、仕組みを確認し、ゆっくり見る事が出来たことは大きな収穫でした。 その楽器検証の後は、時間まで様々なオリジナル楽器をたっぷり各自弾き比べ、お気に入りの楽器も出来たようです。
持ち帰った楽器目録などは教室においてありますので、興味のある方はご覧下さい。

