楽器エピソード3<シュッツェ作 イタリアンの話>

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R. シュッツェ(1965年)作
イタリアン一段鍵盤チェンバロ/フェッリーニモデル(伝 ca.1695)
ローズ(左下の写真)=直径6.5cm弱。木を順にうすく削っていくだけで、このくるくるを形づくっています。

製作者であるドイツ人のライナー・シュッツェ Rainer Schutze(uはウムラウト)は既に1962年には工房を持ち、モダンチェンバロの技術によるのではなく、現存する当時のチェンバロ製作の名工や工房による楽器に目を向け、そこから設計や製作技術などを得て、チェンバロを製作しました。スコヴロネックと同様、ヒストリカルな楽器のムーヴメント(古楽(器)復興運動)の先駆者で、名匠として知られています。やはり、製作できる間に注文を受けたチェンバロを完成するため、新たな注文は受けられない、という話を聞いたのは、80年代の終わりか90年代の初めだったか…と思います。音大では、藝大や上野学園にもシュッツェ作のイタリアンがあります。

この楽器は、当研究会の創設者・故 鍋島元子がレオンハルトに師事した留学先のオランダから帰った後、鍋島自宅(研究会の教室ともなりました)に置かれましたが、その前は、オランダのリコーダー奏者・指揮者で2014年8月に亡くなった、F. ブリュッヘン Frans Bruggen の自宅に在ったものです。鍋島の話では、アンサンブルのレッスンやクイケン兄弟とのアンサンブルなどで、留学中も度々この楽器を弾いたとのこと。

当研究会の発表会「名曲発見の会」(当時の名称)では、特別なことがなければ「名曲発見の会」では、大きな2段鍵盤のチェンバロとこのイタリアンの2台をステージに置き、調律法も2台異なるものにし、作品の作られた時代と作品の特徴によって、どちらかの楽器を選ぶことが当たり前になっていました。楽器や調律法によって作品はさらに生き生きと蘇る!…のです。
2013年11月に初級中級受講生発表会でこのイタリアンを使ったのを機に、3階のレッスン室へ戻すのをやめ、そのままSpace1Fで多くのチェンバロ奏者の方々にも使っていただけるようにしました。是非ご自身のコンサートや生徒さんの発表会でも、17世紀イタリアンならではの音色で初期バロック作品の魅力を愉しんでいただければ、と願っています。

17世紀イタリアンのモデルですが、外箱(アウターケース)に入れ保管するタイプのものは、本体の板がとても薄く、箱の深さも浅く、軽構造です。イタリアンの独特の音色が生み出される理由のひとつでもあります。このシュッツェ作も同タイプです。

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